こんにちは、みなさま。
臨床心理士と公認心理師をやっております、『トアルしんりし』と申します。
現在、会社員の伴侶と発達障害(自閉スペクトラム症と中度知的障害)もちの4歳・娘と3人で田舎に暮らしています。
今回は、娘もあてはまる【自閉スペクトラム症】【知的障害(娘は中度知的障害)】についてご紹介していきたいと思います。
自閉スペクトラム症って?
従来、『広汎性発達障害』とされていたものは、DSM‐5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版(DSM-5)」)では【自閉スペクトラム症】に包含されています。
☞大塚製薬株式会社が管理・運営されているサイトに、(主に子どもの)自閉スペクトラム症やその他精神病の症状についてご紹介されたものがありました↓
スペクトラムって、どういう意味?
スペクトラムとは『連続体』のことです。
どこからどこまでが正常で、ここからが病気・異常ということではなく、正常からグラデーションの様になっているという理解です。
発達障害児・者と定型発達児・者との間にはっきりとした境界はなく、重度 中度 軽度 定型発達まで連続的につながっているよ、という概念ですね。
☞私も以前ブログで書いた【グレー(ゾーン)】という言葉ですが、これは発達の偏りの傾向があることを否定しないよ、という意味合いです。
自閉スペクトラム症について・その内容
診断については、DSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版(DSM-5)」)に記述されています。DSM‐5の自閉スペクトラム症箇所をまとめている厚生労働省のサイト(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト)によると、下記の条件が満たされたときに診断されることになります。
1.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
2.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さなど)
3.発達早期から1、2の症状が存在していること
4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5.これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと
~厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e‐ヘルスネットより引用~
☞知的障害が有るか無いか、言語障害が有るか無いかを明らかにしていく→ADHD(注意欠如・多動症)との併存の有無を確認することが重要となります。
☞自閉スペクトラム症とADHDの併存が、DSM-5では認められています。
☞他の遺伝学的疾患(例えば、レット症候群、脆弱X症候群、ダウン症候群など)の症状の一部として自閉スペクトラム症が現れることがあります。
ちなみに、娘の場合は・・・上の条件だと1から4まで当てはまってました
自閉スペクトラム症は、遺伝的要因が関係しているとされる生まれつきの脳機能障害となります。
100人いたら1人は自閉症スペクトラム症の人が存在、男性の方が女性より人数が多いといった特徴があります。
自閉スペクトラム症・症状
上で引用した厚生労働省のサイトによると、自閉スペクトラム症の症状は次のようなものがあげられます。
重症度は様々ですが、言葉の遅れ、反響言語(オウム返し)、会話が成り立たない、格式張った字義通りの言語など、言語やコミュニケーションの障害が認められることが多くなっています。
乳児期早期から、視線を合わせることや身振りをまねすることなど、他者と関心を共有することができず、社会性の低下もみられます。学童期以降も友だちができにくかったり、友だちがいても関わりがしばしば一方的だったりと、感情を共有することが苦手で、対人的相互関係を築くのが難しくなります。
また、一つの興味・事柄に関心が限定され、こだわりが強く、感覚過敏あるいは鈍麻など感覚の問題も認められることも特徴的です。
~厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e‐ヘルスネットより引用~
☞社会性の障害として、我が家の娘の場合は・・・
- 大人、年上の子も年下の子も関係なく、マイペースに陽気なあいさつ(言葉が出ないので、手をあげて「よ!」というノリの挨拶の仕方をします)
- 同じクラスの子たちが一緒に遊ぼうと誘ってくれるが、娘の気分でないため基本スルー
- クラスみんなで「次、〇〇しよう!」と言っているのに、娘一人だけ別のことをしている
- 「ちょっと待ってね~」が出来ない→すぐ何処かいく。ウロウロ
- 「座って本を読もう」は出来ない→じっと何処か(椅子、親の膝)に座ってられないなど
☞コミュニケーションの障害として、我が家の娘の場合は・・・
- 視線はあまり相手と交わせない(よほど意識が向けば別ですが;;;)
- 二語文以上の言葉は皆無
- 自分の気持ちは基本、癇癪と指差しで表現→言葉ではほぼ皆無
- 親が叱っているのに、『?(きょとん)』の表情など
☞感覚過敏や鈍麻については・・・
- 綿や麻の服は好きみたいですが、制服や式典服の様なテカテカ、ツルツルした感じの生地(ナイロンとかポリエステルとか)は苦手なようです
- マスクを常につけているのも難しいです(すぐにポイってします)
- DVDとかの音量を爆音にして聴いてたりします(その都度、大人が調整・声掛けします)
- ブロッコリーとかきゅうりはOKなのに、感覚過敏からかホウレン草やネギなどの苦みを感じやすいものはNG(きゅうりは丸かじりしてます)
- 暑い寒い関係なく、靴下はすぐ脱ぎます(室内に入ったら、何処であろうと絶対に脱ぎます)など
☞言葉の遅れ、反響言語(オウム返し)、会話が成り立たない、格式張った字義通りの言語など・・・
- 言葉の遅れ→はい、遅れてます!
- 会話が成り立たない→言葉が(単語、ちょっとしたフレーズくらいしか)出ていないので、基本は言葉での会話は成り立ちません
- 反響言語(オウム返し)→ありました!1歳以降に出てきてましたね
- 格式張った字義通りの言語→これから言葉が増えたら生じると思います。娘は現在、「ただいま」を「おかえり」といいます(笑)
- 好きな遊び&キャラクター→排水溝に小石を落とす(1歳~2歳)、1人で水遊び(1歳~現在も)、トランポリン、DVDでお気に入りシーンを一日に何度も見る、アンパンマン大好き
知的障害って?
知的障害は精神遅滞とも表されます。DSM-5では、【知的能力障害(知的発達症)】とも表記されています。
知的能力障害(知的発達症)
知的能力障害(ID: Intellectual Disability)は、医学領域の精神遅滞(MR: Mental Retardation)と同じものを指し、論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、学校や経験での学習のように全般的な精神機能の支障によって特徴づけられる発達障害の一つです。
発達期に発症し、概念的、社会的、実用的な領域における知的機能と適応機能両面の欠陥を含む障害のことです。すなわち「1. 知能検査によって確かめられる知的機能の欠陥」と「2. 適応機能の明らかな欠陥」が「3. 発達期(おおむね18歳まで)に生じる」と定義されるものです。中枢神経系の機能に影響を与える様々な病態で生じうるので「疾患群」とも言えます。
有病率は一般人口の約1%であり、年齢によって変動します。
~厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e‐ヘルスネットより引用~
☞1クラス30人・全4クラスいれば、1人は知的能力障害という感じですかね。
ちなみに、厚生労働省のサイトによると、知的(能力)障害の程度の基準は以下のとおりです。
境界域 | 70‐84 |
軽度 | 51‐70 |
中度(中等度) | 36‐50 |
重度 | 21‐35 |
最重度 | 0‐20 |
☞ちなみに、我が家の娘は療育手帳取得の際、知能検査(ビネー)を受けました。結果は、DQ=45という結果です。
☞☞検査中、別室で私は待っていたのですが・・・途中(開始15分も経たず)で娘は脱走していました(この時点で、”ああ、数値高くないだろうなぁ~”と思いました)。
上記の知的能力障害の定義の、「1. 知能検査によって確かめられる知的機能の欠陥」と「2. 適応機能の明らかな欠陥」が「3. 発達期(おおむね18歳まで)に生じる」のすべてに当てはまってますね、娘の一挙手一投足は🤣
娘の場合、様子としてはこんな感じでした
検査結果は、最終的に私の考えである『娘は知的(能力)障害があるだろう』を肯定してくれたものでした。
思えば、歩くことが出来る様になってきた1歳ころから、「あれ?」という違和感はありました。
具体的には以下のことなどが、その違和感です。
- 名前を呼んでも振り向かない→(自閉スペクトラム症も関係しているかと思いますが)そもそも理解力が低いのでは?
- 散歩中、危険なところにしょっちゅう入ったり、飛び出しする
- 事前に「いまから●●するよ」「次は、これをします」と何度も伝えているが、全然行動が切り替わらない&行動を促すと癇癪
- 環境変化に弱い→状況理解力がそもそもよくないのでは? などなど
☞他にも思い出したら、別記事でまとめて書きますね!
まとめ
現在、4歳の娘。言葉は単語やフレーズが多いですが、以前より話したい!という意欲が高まっているようで、少しずつコミュニケーションがとれやすくなっているような気がします。
言葉以外のバリエーションも増えている様で・・・何をいっているか分からないが、何となくわかるという経験が増えています。実に嬉しい事ですね!
得意・不得意のアンバランスが大きい娘ですが、だからといって娘の中での成長は確かにある!それを見守りながら、娘との今後も極力、ストレス少なく楽しく過ごせる日々を目指していきたいです。
世の中にもっともっと娘の様なケースを知ってくれる人が増えて、「へぇ~そうなんだ。OK!じゃあ、困ったら私を頼りなよ+」「一緒に問題解決しようか」といった、みんながみんな過ごしやすい世界になると良いな、と感じました。
記事を作成するに際して参考にしたサイトは、以下のとおりです。
- https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html(注1)
- https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-004.html(注2)
- https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/101-1c.html(注3)
参考: 注1)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html(参照日2022年10月13日)
注2)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 「知的障害(精神遅滞)」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-004.html(参照日2022年10月13日)
注3)厚生労働省 「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/101-1c.html(参照日2022年10月13日)
☞障害の有無関係なく、ひとりひとり個性をもった子ども達を育てている親御さんにとって、『毎日大変だけど…子育てって、楽しいこともあったりするな』、『私たち頑張ってるよね~』、と思える体験をこのブログを読むことで、少しでもよいのでしてもらえたら嬉しいですね***
ではでは、またお会いしましょう!
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